<br> あつーい夏休み!<br>







あつーい夏休み!



「暑い暑い暑いーっ!!」



平日の真昼間。



あるアパートの一室から聞こえてくる叫び声。

その部屋のドアを開け、奥に進むとリビングにたどり着く。

そして床に寝っころがってる少女が一人。

さっきから聞こえる叫び声の主。

近所迷惑もいいとこだ…。



「あーもう!誰だよ!温暖化進めた奴!!!」



彼女の名前は

こんなんでも一応ヒロイン…自信ないけどさ。

はかれこれ数十分叫んでいた。

そしてもう一人。

ソファーにゆったりと腰掛け、巻物を眺めている金髪の少年。名前はナルト。

ナルトはずっと巻物を眺めながら、の様子も見ていた。

そして内心。



「(…うるせーな)」



と思っていたが放置していた。

しかし、そろそろ我慢の限界らしく、に話しかけることに。



「…


「なにっ!?」



ヒステリーババアの如く返事をする



ビクッ



恐怖の為、頬が引き攣ったが、それをなんとか抑えて言った。



「…お、お前さっきから叫んでて暑くない?」


「…暑い」



さっきと違い大人しく答える。



「(だろーな)だったら、大人しくてた方がいいと思うぞ?」


「でもさ〜ホント暑いんだもん」


「夏だからなぁ…って言いたいとこだけど、確かに今年は暑つすぎ」


「…はぁ。せっかくの夏休みなのに…雪降んないし…」


「は?いやいや無茶ゆーな。雪降んのは冬だから」


「雪カムバーックっ!!」



暑さで可笑しくなる



「(やべえ…どうしよ;あっ)」



ナルトは少し考えたが、すぐにいい解決策を思い付く。

そして、すぐさまに伝える事に。



「なぁ、!」


「…ん、なぁに?」



死にかけた魚の目をしながら、じぃーッっと自分のことを見てくる。はっきり言って怖い;

さっきとは、また違う恐怖。今は、リアルホラー体験中みたいな…。

そんな恐怖に耐えながら、オレは答えた。



「…よ、夜になったら、シカマル誘って花火やんねぇ?」



言った瞬間、の目がぱあっと輝く。

そして満面の笑みで答えた。



「うん、やる!!」



ドキッ



「………っ!!」


「んじゃ、私シカマルに言ってくる〜♪」



そう言って、玄関のほうに向かっていった。

バタンッと勢いよく閉まるドア。

の気配が消えた瞬間。

手に持っていた巻物がバサッと落ちた。



バクバク…



早鐘の如く止まないナルトの心臓。

さっきの満面の笑みを浮かべていたを思い返す。

そして一言。



「…不意打ちとかホント止めてほしい;ってか死んだ魚からあれは詐欺だろ」



ナルトの顔が赤くなっていたとか?いないとか?

それは本人しか知らないこと。

多分真っ赤だったと思うけど(笑)






………






花火花火っ♪花火とかホント久しぶりだなぁ。

この頃、全然やってないもん。

去年やろうとしたけど、ナルト達に急な任務が入ったんだっけ…。



ー回想



「じーちゃんナルト達知らない?」


「ああ、あやつらなら急な任務が入ってのう、たった今出掛けたぞ」


「はい?いやいや、今夏休み中じゃなかったっけ?」


…忍にはな、休みなんかないんじゃよ」



目の前で満面の笑みを浮かべながら、もっともらしい事をほざいているジジイ。

うん、フツーだったら納得するし、賛成もする。

ってか、他の…まぁ下忍はいいとして、中・上忍、暗部に対してだったら、

私も言うさ。



「お前ら休みすぎだからもっと働け!!」



って、でもさ私達そんな休んでないでしょ?

てか、ジジイ。私達に夏休みくれるって言ったよね?

…あれは嘘?



はじーちゃんに対して軽く怒りを覚えたがそれを我慢して抑えた。

そして、質問する。



「…2人はいつ帰ってくるの?」



我ながらよく耐えた!ってか、成長したなぁ私。



「1ヶ月先じゃよ」


またもや、満面の笑顔返答。



「………」



グシャッ



持っていた花火を握りつぶす。



「!!?」


ジジイはスゴク驚いた表情をしていた。

でもまだ、私の逆鱗に触れたって気付いていなかった。

私はポツリポツリと話始める。



「…私さぁ、今日二人と花火するって約束してたんだぁ。」


「………;」



ジジイが冷汗を掻いているのが見えたけど、私は気にせず続けた。



「急な任務?まぁいいよ。私達忍だし暗部だもんね。だから多少は我慢できるよ。

でも、一ヶ月って何?フツー有り得ないよね?休みって言ったのにさぁ。

私、二人と花火すんのスゴーク楽しみにしてたんだ…。

あっそうだ!代わりに、じーちゃん一緒にやろう?」




ゾクッ



「…え、遠慮し…」



ドカッ



拒否権なんてあるわけねーだろ?



そう言って私はジジイに持っていた花火を向けた。

花火の種類は、ロケット花火でいっか。

ジュッという音とともに、花火は真っ直ぐジジイの方へ飛んでいく。



「ひっ!!」



ドォーン!!



じーちゃんの声と同時に花火は破裂した。



「………」



はそれをうっすらと笑みを浮かべながら見ていた…。



ー今



うん、人間そう簡単に変わんないねv

私は遠い日の思い出を振り返って、しみじみと思った。

じーちゃんに花火向けるとか、今思うと結構やばかったなぁ…。

まぁいっか。悪いのはじーちゃんだし。

さてと、シカマル所に行くか。






………






コンコンッと窓を叩く音が聞こえた。



「(誰だ?)」



そう思いながら、オレは窓の方に向かおうとした。

が、その前にガラッと窓が開く。

そして…。



「やほ〜シカマル君v」



と言いながら部屋に入ってくるのは見知った人物。

だ。



「…君付け気持ち悪い」


「ひどっ!」


「それより、なんか用か?」


「夜になったら花火するからそのお誘い〜」


「あ〜去年、結局出来なかったもんな」


「うん、だから今年こそはね。んじゃ、私もう行くね〜」


「お、おう」



はそれだけ言うと、また窓から出て行った。



「…なんか嵐が去ったみてぇ」



とボソッと呟く。



「…ってか、夜までまだ時間あんじゃん。もう一眠りしよ」



そう言って、オレはベットに戻っていった。






………






ガチャッ



「ただいま〜」



しかし返事はなく、部屋はシーンと静まり返っている。



「ナルト?」


私は少し不安になって、ナルトの部屋に向かった。



コンコンッ



ドアをノックをしたが反応がない。



「………」



ガチャッ



ドアを開けて中に入る、そして周りを見わたすと…。



…いたし。



ナルトはベットの上で寝ていた。


「………」



その光景を見てたらなんだかムカついてきた。



すぐさま、周りを見渡す。

すると、あるモノが目に入った。

あるモノとはアカデミーで使う教科書。

それを手に取ると、気配を消してナルトに歩み寄る。

そして…。



バシッ



とてもいい音が部屋に響く。

そして1拍おいてからナルトが目を覚ました。



「……?」


「なぁに?」



私は笑顔で答える。


「…お前、今なにで殴った?」


「教科書v」


「…ふぅん。ってかなんでオレ殴られたわけ?」


「なんとなく?」


「なんとなくで寝てる人間、殴んじゃねーよ!;」


「えへっvってか人が準備してるのに自分だけ寝てんなよ〜」


「いや、休んでただけなんだけど;」


「なんかしてたの?」



疑問に思い聞いてみた。



「ちょっとなぁ」


「なに?」


「まだ、内緒。花火始まったらな」


「うん?」



少し気になるけど、あとで教えてくれるっていうし、今は我慢しとこ〜。






………






ー夜



夜といっても、すでに夜中といっていい時間だったが。

そんな、夜遅くにとナルトは外に出ていた。



「うん、いい感じに涼しくなってる」


「だな。あっ来たみたいだぜ」


「ホントだ〜」


「よう」



シカマルだ。



「おそいよ〜」


「わりぃ、寝過ごした」


「まぁいっか。シカマルも来たことだし、始めよ〜」



そう言ってニヤッと笑う



ゾクッ



その表情に何故か悪寒がした二人。



「…あの、さん?」


「…なんだろ。すげー嫌な予感」


「ん?なぁに?」



満面の笑み、でもその手の中には大量のロケッット花火が。

それらの向く方にオレらがいた。



※ 花火を人に向けてはいけません!



を落ち着かせようと、声を掛ける。



「お、おちつ…げっ!!」


「うわっ!!」



しかし、それより少し早く、の持っていたロケット花火が飛んでくる。

オレらは慌ててそれを避けた。



ヒュ〜ン ドカーン!!



『はっ?』



ロケット花火が何本来ようとも、絶対に出ない音。

その先には、砕け散った壁。



「………(ありえねぇ)」


「………(嘘だろ…;)」



二人は呆然と瓦礫を眺めていた。



ただ一名、すごい悔しそうな声を出していたが…。


「あとちょっとだったのになぁ」


「…なにが?」



恐る恐るオレは聞いた。



「ナルト君と〜シカマル君に当たるまでv」



笑顔で恐ろしい事ほざきやがった。この馬鹿。



「いや、あんなモンに当たったら、いくらオレらでも死ぬから」


「大丈夫、死なないって信じてる!」


「フツーに死ぬわ!!」


「つーか、どっからそんな根拠が出てくんだよ」


「あ〜なんとなく?」


『…(なんとなくで殺されてたまるか;)』



もっともな意見ですね。



「ってか、それ火薬強くねぇ?」


それは、ずっと気になっていたことだった。



「あ〜改造したからね」



その質問に対して、はすぐに答えてくれた。



「…いつのまに;」


「去年の夏〜ヒマだったから」



「(…じっちゃんが任務なんか言わなきゃ、オレら死ぬ想いしなかった?)」


「なぁ。」


「なに?」


「じゃぁ、去年はフツーの花火しようとしてたのか?」



オレが聞きたかったことを、シカマルが聞いてくれた。



「ん〜いや?」



あっさりと否定。

早いな、おい;



「火薬の量、去年の方が3倍多かったかな?」



ピシッ



何かが固まった音がする。

まぁ、ナルトとシカマルだが。



「…、もっかい言ってみ?」


「だから〜去年の方が3倍多かったよv」



…やっぱ、聞き間違いじゃなかったか。



「ってか、なんで去年の方が多いんだよ!」


「いや〜火薬入れすぎちゃってさぁ。それでも平気かなって思ったんだけど。

去年、花火やろうとした日、じーちゃん二人に任務入れたでしょ。

数日なら我慢したさ。でも一ヶ月とか言うじゃん?それ聞いて私キレちゃったんだよね〜。

んで、じーちゃんにその花火向けたらあの部屋、ほぼ全壊でさ。(じーちゃんも死にかけてたし…)

さすがにやばいかなぁと思って、火薬の量減らしたの」


『(そういえば、帰ってきたらあの部屋、妙に綺麗だったけ…)』



去年のことを思い出して、二人はしみじみとそう思った。



「まぁ、とりあえず…」



今まで黙っていたナルトが口を開けた。


「ん?」


「その物騒な花火没収な」


「なんでっ!?」


「そんなの続けてたら、命がいくつあっても足りねぇんだよ;」


「確かになぁ」


シカマルも賛成のようだ。



「ちょっ!シカマルの裏切り者〜!!」


「いやいや、物騒な花火作ったが悪い」



冷静に言い返されたよ…。



「そうそう」


ナルトのヤツも頷いてるし。



「そんなぁ〜」



私はすでに涙声になってるよ。

二人はそれを軽くスルーしいて、容赦なく出せと言ってきた。

…ムカつく。



「はい、馬鹿ナルトv」


「…おい」


なぁに?



「…なんでもねぇよ」


一瞬、どす黒いオーラを感じ、それ以上言うのを止めた。



「そう?」


「(さわらぬ神に祟りなし?)」



シカマルは密かにそう思った。



『………』



その場に気まずい空気が流れる。

それを崩したのはナルトだった。






「ん?」


「線香花火やんねぇ?」


「…でも、改造花火の中に線香花火ないよ?」


「あ〜大丈夫。オレ持ってるから」


「準備いいな。ナルト」


「だろ〜?」



…もしかして、さっき内緒って言ってたのコレのことかな?



「んで、。やんだろ?」



さっきの気まずい雰囲気が消える。

そして…。



「うん!!」



と、笑顔で答えた。






………






じー…ぱちぱち…



静かな周りには花火の音だけが響いている。



「綺麗〜」


「だなぁ」


「ああ」


「…私ね〜」


「ん?」


「あーゆう爆弾っぽい花火も好きなんだけどさぁ、

一番好きな花火って、線香花火なんだ〜」


「…へぇ。それはまた…」



ナルトが薄ら笑いを浮かべる。



「なんだよ〜ナルト」


「だってなぁ…シカマル」


「えっオレ!?」



今まで傍観者として二人を見てたシカマルは、

急に話をふられて焦っていた。

でも、すぐに…。



「…まぁ、確かにな(ったく、急に話ふるなよ。毎回毎回コイツらは;)」

「はぁ!?」


「ほらな〜」



勝ち誇ったような顔をするナルト。

続けて一言。



「破壊魔のさんが、線香花火がホントは好きです…なんて言っても誰も信じねーよ」


「だよな〜」


「うそだぁ!!」


「いや、ホント」



ナルトは笑みを浮かべながら答えた。



「………」



が黙って聞いているのを良い事に、ナルトとシカマルは話を続けている。

まぁ、もただ、大人しく聞いているわけではなかったが。

内心…。



…このやろう;

今度やる時は去年以上に火薬倍してやろうか?

うん。ってか、絶対やろ。



と、物騒な事を考えていた。

…ある意味、こんなことを考えてるから、

素直に信じてもらえないんじゃないか?



「……やろうな。」


「…へ?えっなにを?」



全く違うことを考えてたから、ナルトがなにを言っているのかわからない私。

なので慌てて聞き返した。



「聞いとけよ;」


「ごめんごめん。んで、なに?」



軽く謝罪し、改めて聞くと。



「だから、来年も花火やろうなって言ったんだよ」


「えっ」


「例えば線香花火だけとか?」



と、シカマルが言う。



「いや、さすがにそれはなくねぇ?」


「まぁな〜」



来年も花火をやろうって、言ってくれたことが私はすごい嬉しかった。

嬉しくて、なにを言えばいいのかパニくる。

でも、なんとか…。



「う、うん!やるやる!!」



だけだが、出すことができた。



それを聞いて、二人は笑いだした。



最初に口を開けたのはシカマルだった。



「…いやいや〜」


「…ってか、返事すんのがおせーんだよ」



それだけ言って、また二人は笑い始めた。



「笑うなよ〜;」



…必死に言ったんだから。



それでも笑い声は止まない。

そんな二人を見てたら、なんだか可笑しくなってきて私も笑った。



静かな外に三人の笑い声がずっと響いていた。

こうして、ある夏の夜の思い出が終了。

休みが終われば、またいつもと同じ日常の始まり。






あ〜来年は、打ち上げ花火でも用意してみようかな〜。






………






〜あとがき〜



もう新学期始まっているけど、夏休みのお話。


遅いね〜。


まぁ、いっか?(良くないけど…;)


久しぶりに短編書いたなぁ…やっぱりむずかしいね。


でも、書いてて楽しかったな(笑)


それではここまで、読んでくれた人


本当にありがとうございます!!


2007.9.7