過去より今を
ー明け方
日があと少しで、昇るという時間。
は出掛けた。
ガチャッ
バタン…
「(が、こんな時間に起きるなんて珍しいな…)」
音がして目を覚ましたナルトはそう思った。
………
は急いでいるわけではなかった。
だから、少しゆっくりとしたペースで、ある場所に向かっていた。
………
過去より今を
「数日前にも着たけど…やっぱり久しぶりだなぁ。ここに来るの。この間は偶然だったし;」
この場所についてすぐにそう思った。
「ずっと来れなくてごめんね。洸」
がきた場所は、木ノ葉の英雄達の名が刻まれてある慰霊碑だった。
この間、演習でここに来て以来、ずっと此処に来ようとは考えていた。
「あれから2年か…意外と短いようで長かったなぁ」
ストン…
近くにあった丸太に寄り掛かるように座った。
「また信じられる人達が増えたんだよ!スゴイ進歩でしょう?」
あの時…洸が死んだときは、ホント誰も信じられなかったのにねぇ…
………
―2年前
私は気がついたらベットの上にいた。
「…薬品くさっ」
そんな事を呟いていると、突然ドアが開いた。
ガチャ
入ってきたのは火影とカカシだった。
「傷の具合はどうじゃ?」
「、無事で良かったぁ。心配したよ」
「………」
「…あの任務は、お主には辛かったな」
ピクッ
火影の言葉に反応する
あの任務?…あー葉月が洸を殺して、私が葉月を殺した任務…ね
「……って……」
「は?」
「え?」
「…ごめん…出てって…」
はそれだけ言うと布団を被った。
『(…)』
バタン…
二人は出て行った。
………
…ねぇ。また前みたいに笑おうよ?
カカシは願った。
………
―数週間後
この数週間、ヒマを見つけては火影とカカシはのお見舞いに来てくれた。
でも、そんな二人がなぜか気にくわなくて、殺そうとした事もあった。
一人でいる時はずっと涙が止まんなかった。
でも、今は全てがどうでもよかった。
私の心は既に壊れていた。
―夜
さて、そろそろ任務に復帰しようかなぁ
ベットにいるのも飽きたしね
暫らくして、着替えを済ましたは、火影のいる屋敷に向かった。
………
ガチャッ!
扉が勢いよく開いた。
「はろ〜じーちゃん!あれ?カカシ(笑)」
『!!』
突然の訪問者に二人は驚く。
でも、その訪問者が誰だかわかると、さらに驚いた。
「…なっ;」
「!?」
「ん?どうしたの?」
「なんで、が此処にいるのさ;病院はどうしたの?」
火影の代わりにカカシが聞く。
「あはっ抜け出してきた。てか、もう平気だから任務頂戴!」
『(…やっぱり;)』
「…本当に大丈夫なんじゃろうな?」
「うん!」
………
は任務を貰ったらすぐに、この部屋を出て行った。
そして、残った二人は…。
「笑ってませんでしたね;」
「…ああ;」
「早く、戻ってくれるといいんですけど」
「じゃな…」
ガラッ
突然、窓が開く。
すると…。
「じっちゃん、次の任務は?」
「ナ…江狐久しぶりだね!」
「よう、カカシ!」
「全く、いつも言っているじゃろう。窓から入って来いと」
「メンドくせーから嫌だ。なぁ、それよりこの部屋辛気臭くねぇ?」
「あー…;」
「ちょっとな。ほれ、今度はこの任務をこれじゃよ。」
ナルトに任務の依頼書を見せる。
内容はSSランクだった。
「……またSSかよ。今日だけで何個片付けてると思ってんだ;」
「今日の任務はそれで最後じゃ」
「あれ?いつもより少なくねぇ?」
「入院してた暗部が任務に復帰したからのう」
「そいつ、SSなんて出来んのかよ」
ナルトがバカにしたように言う。
「お主と同じで、ワシ専属の暗部じゃよ」
「ふーん。まぁオレ行くわ。じゃぁなカカシ」
「またね、江狐」
―江狐が立ち去った後
「なんか似てますね。あの二人」
「やっぱり、お主もそう思うか」
「ええ、仲良くなりませんかね」
「だと、嬉しいんじゃが無理じゃろう。とりあえず、今のアヤツらじゃ…」
これから、1年後
この二人とあと一人が仲良くなるとは、この時はまだ、誰も知らなかった。
それは、本人達でさえ…。
………
これから先、誰も信じない…
信じて、裏切られたくないから…
もう誰も、失いたくないから…
………
「振り返ってみると、中々の思い出で;」
2年前のことを振り返って、は苦笑していた。
「今じゃ出来ないかな…?ねぇ、洸。この頃毎日が楽しいよ。
でもね…。洸が居ないのは、スゴイ寂しいよ…。
ねぇ、なんであの時助けたの…?
あー…洸に逢いたい…。…葉月…葉月に逢いたいな…」
2年間、ずっと出さなかった名前が出てくる。
葉月は忘れようとしても、忘れられなかった。
やっぱり、洸と同じくらい大好きな人だったから。
「……っ」
の目から涙が溢れてきた。
………
が出かけて数時間が経った頃。
ナルトとシカマルは二人で歩いていた。
「なぁ、あそこに居るのじゃねぇ?」
シカマルがナルトに聞く。
「は?あーホントだ。朝早くから出掛けたと思ったら、此処に来てたんだ。
てか、慰霊碑でなにしてんだ?」
「なぁ、ちょっと近づいてみねぇ?」
「おう、そうすっか」
二人は気配を消してに近づいてみる。
そして、もう少しだけ近づこうとしたが二人は止まった。
が泣いている姿が見えたから。
「…洸…葉月…」
『………』
「…逢いたいよ…」
は逢いたいと繰り返しながら泣いていた。
「<…の奴いつから泣いてんだろうな?>」
に気付かれないように隠話で話し掛けた。
「<さぁな。でもアイツが泣くなんてあれ以来じゃね?>」
「<…ああ>」
二人は、同時に1番最初にと組んだ任務の事を思いだした。
『<………>』
二人は黙っていた。
ナルトは下を向いていると、足元にあった物が目に入った。
そして、ある事を思いついた。
「なぁ、シカマル」
「ん?」
「ちょっとやってみたい事あんだけど」
そう言ってナルトは笑った。
最初、眉を顰めていたシカマルもナルトの話を聞くと、ニヤッと笑ってから賛成した。
………
コンッ!
コンッ!!
「…っ!は?木の実!?」
木の上から突然降ってきた木の実には驚いた。
でも、それより驚いたのは…。
「一人で泣いてんじゃねーよ」
後ろから声がした。
振り向くと。
「てか、お前我慢しすぎ」
そこには、ナルトとシカマルがいた。
「ナルト、シカマル!」
は驚いて、今まで出ていた涙が止まった。
「少しはオレ等に弱み見せろって…。な?」
ポン…
そう言ってナルトは、の頭に手を乗っけた。
「………っ」
止まっていた涙がまた溢れ出してきた。
そして久しぶりに声を出して泣いた。
そんなの頭をナルトは落ち着くまで撫でていた。
………
「…ナルト、シカマルありがとう」
は恥ずかしくなって下を向いていた。
「ククッいえいえ?」
「どう致しまして?」
そんなの様子が可笑しくてナルトは喉を鳴らして笑い、
シカマルの方も笑いを堪えながら答えた。
「………」
くそう、嫌なとこを見られた…。
スッキリしたのも事実だけどさぁ、
でも、なんかムカつく…。
「…はっナルトのクセに生意気」
だから、鼻で笑ってやった。
「てめっ…。てか、お前は素直さと可愛らしさを覚えた方がいんじゃねーの?」
「なに言ってんの?私はいつでも可愛くて、素直だから」
「うわっ自意識過剰もいいとこだし」
「……(…これ、止めるのオレじゃん…めんどくせーな;)」
シカマルはため息を吐きながら止めに入った。
まぁ、結局しばらく続いていたけどね。
…………
「洸、葉月また来るね。もう完璧平気だから、ヒマな時にでもくるよ。
つーか葉月、私が死んだら覚えとけよ?
お前のせいでどんだけつまんない2年を過ごしたことか…。
あっ今度はナルト達を紹介するよ。んじゃ、またね。おーい、二人とも帰ろう(笑)」
そう言っては笑った。
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………
はい、3話で言っていた番外編です!
演習の数日後です。
最初、シリアスだったはずなんですけど、
いつのまにか、ギャグに向かっていった気がします?
なんでだろう?
最後の方適当になってました;
いや、最初のからか…。
え〜と、ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!!